せっかく働くなら給料のいいところで働きたいけど、建設コンサルタントって給料安いのかな〜。
あなたもこのようなことに悩んでいませんか?
一度仕事を始めると簡単にはやめられませんし、せっかく働くなら給料のいいところで働きたいと思う人も多いのではないでしょうか。
建設コンサルタントとして働いていた私が実際にいただいていたお給料のこと、建設コンサルタントがどこからお金を稼いでいるのかをお話しさせていただきます。
結論としては、建設コンサルタントの年収は低いわけではありません。むしろ全体平均と比べると高いくらいです。基本給以外の手当が複数あり、仮に早い段階で資格が取れた場合は同世代の中では上位の収入を得られる職種といえます。そして、この資格取得は会社が助けてくれる体制もあるので自分磨きにも適した環境と言えます。
この記事を読んでいただくことで建設コンサルタントがどのようにお金を稼ぎ、お給料をもらっているのかがわかるようになりますよ!
職業別の平均給与について
まずは職業別の平均給与について調べてみました。次の資料は国税庁が毎年公表している民間給与実態統計調査結果になります。
国税庁 令和元年度民間給与実態統計調査結果 より引用
この資料からわかることは全体の平均給与とされる全体平均の436万円よりは建設コンサルタントが分類される技術サービス業は518万円で平均を上回っていることです。
次に年齢階層別の平均給与をみてみましょう
国税庁 令和元年度民間給与実態統計調査結果 より引用
20台男性では平均が278万円〜403万円となっています。20台前半ではまだ大学院生などで働いていない人も含んでいることが想定されるので、低めの数字となっていることが伺えます。
建設コンサルタントの1年目の年収について
建設コンサルタントの初任給は20〜24万円程度と想定されます。
これは建設コンサルタント各社のHPなどで調べればわかると思いますが、一般的には大学や大学院を卒業したときに取得した学位で給料が変わります。
なお、性別による差はなく、男性でも女性でも初任給は学位で決まります。
仮に基本給を21万円として12ヶ月働き、賞与といういわゆるボーナスが5ヶ月あったとすると
210,000円 × (12ヶ月+5ヶ月) = 3,570,000円 ・・・ ①
となります。これだけみると「こんなもんなの?」と思うかもしれませんが、これには手当が含まれていません。
各種の手当について
手当については、各社で異なるとは思いますが、必ずあるのが時間外労働手当です。いわゆる残業代です。
仮に時間外労働の時間単価が1400円として月に20時間の時間外労働をしたとします。
1,400円 × 20時間 × 12ヶ月 = 336,000円 ・・・②
そのほかに住宅手当という家賃補助制度、自宅から職場までの移動に要する費用として通勤手当があげられます。
仮に住宅手当が3万円で通勤手当は半年で2万円とします。
30,000円 × 12ヶ月 + 20,000円 × 2回 = 400,000円・・・③
総支給額について
先に述べた基本給①と時間外手当②と住宅手当、通勤手当③を合わせると
357万円 + 34万円 + 40万円 = 431万円
となります。20台の平均年収が278万円〜403万円であったことを踏まえると建設コンサルタント会社に就職すれば1年目の年収でこの平均値を大きく超えることがわかるかと思います。
ここから社会保険料等が天引きされるので年収が手取りの年収になるわけではないのですが、生活するには十分なお金だと思います。
実際に私は1年目から貯金が100万円以上できました。
時間外労働の時間がもう少し多かったのと、賞与や特別支給という先に示した手当以上に収入がありました。3年目では年収は550万円を超えていました。
飲みにもよく行っていましたが、先輩に奢ってもらうことも多かったので、生活費を切り詰めてというよりは、そこまで使う必要がなかったので自然と貯まったという印象です。
建設コンサルタントの2年目以降の年収について
建設コンサルタントに限らず、2年目以降は住民税という税金が増えるので、同じ労働時間だった場合は手取りの収入は落ちます。
実際には基本給が昇給したのと時間外労働の時間が増えたので、私の場合は年収が上がりました。
手当には先に示したもののほかに資格手当という特定の資格を取得した人のみに支払われる制度がありました。
私のいた会社では技術士を取得すると毎月10万円の支給があり、技術士をとるだけで年間で120万円の給料が増えるのですが、もちろん簡単には取れないので自己研鑽が必要です。
金額の大小はあると思いますが、この制度はほとんどの建設コンサルタントで採用されていると思います。ただし、年齢制限等の条件が設定されていることもあります。詳細は各社の採用担当に確認してください。
40台半ばの上司と飲みにいったときに聞いた話ですが、「去年は1000万円の年収になったわ、お前もがんばればイケるぞ」と言われ、20代前半の私は「意外と身近にお金持ちっているんだな」と思いました!笑
この上司は技術士をもち、管理職手前だったので年収も増えるタイミングだったのだと思います。一般的には管理職に時間外手当はつかず、年収が下がるといわれています。
建設コンサルタントがどうやって稼いでいるか
建設コンサルタントが稼げる職業だとわかったところで、いったいどうやって稼いでいるかお話しします。
建設コンサルタントのお客様は公共事業を発注するお役所か電気や鉄道、水道などのインフラを支えている民間企業が多いです。
どちらも発注者も自前ですると時間と労力が多くかかる場合に外注して成果を受け取りたいと考え、予算をとって建設コンサルタントがその予算内でお手伝いをするというものです。
競争入札制度について
基本的に外注する場合はその仕事を入札にかけます。入札には色々な条件が付けられるのでより専門性が高い仕事は専門的な資格や実績が必要となります。
専門性があまり高くない仕事は、条件が緩くなる代わりに金額も低くなりがちです。
この金額設定の基になるのが、歩掛りという全国で統一された考え方で毎年更新して公表されているものです。お客様が事前に計算し、金額を把握して入札にかけます。この金額のことを予定価格と言います。
入札は紙や電子など色々ですが、いずれの場合も予定価格よりも低い金額で入札した会社のうち、一番低い金額を入札した会社が審査を受けて、契約を結びその仕事をすることになります。
なお、低い金額での入札には双方にリスクがあり、「仕事が最終的にできませんでした」ということを避けるために最低制限価格という入札価格の下限値が設定されています。
この入札で多くの仕事をとり、多くの仕事を収めれば稼げるということになりますが、基本的には歩掛りの相場はそんなに高くない割りに、金額の多少の差ぐらいでは掛かる手間がほとんど変わらないので厄介です。
数で勝負すると、仕事が回らなくなってかなり大変なことになります。
そのほかの入札制度について
競争入札入札には技術提案型や指名競争というものもあり、そのほかとして随意契約があります。
技術提案型競争入札は優れた技術力があり、「うちの会社がやればこんないいことがあります!」というアピールができるもので、会社の実績や優位性、特殊性が評価されるので価格競争にはなりません。
しかし、これでものすごく稼げるわけでもなく、多少入札金額を多めに設定しても大丈夫という程度ですし、評価されるためには会社の資格者の数が多いことや実績の積み重ね、場合によっては事前の準備やプレゼンも必要です。
指名競争入札はあらかじて入札に参加する会社に立候補してもらい、事前審査をおこなう入札方式です。この方法は事前に入札の審査をすることで一定の技術力のある会社を選ぶことができます。
随意契約は金額の低い入札の場合や特殊性が高すぎて、できる会社が少ない場合に採用されます。
会社が求めている人材について
会社としては、入札に参加するための条件となることの多い「技術士」や「RCCM」を持っている人を増やしたいと考えます。まずは入札できる体制を確保するためです。
したがって、手当を付けてでも社員には資格を取って欲しいという構図ができあがります。
技術士の資格をとるためには経験年数と実績が必要となりますので、会社では資格がないときに下積みで経験と実績を作っていき、資格試験に向けて社内研修として模試や添削もよくやってくれます。
まとめ
この記事では建設コンサルタントの年収とどのようにお金を稼いでいるのかお話ししました。
結論としては、建設コンサルタントの年収は低いわけではありません。むしろ全体平均と比べると高いくらいです。基本給以外の手当が複数あり、仮に早い段階で資格が取れた場合は同世代の中では上位の収入を得られる職種といえます。
建設コンサルタントの年収についてまとめると以下のとおりです。
- 建設コンサルタントの年収は全体平均よりも高い。
- 性別によって給料は変わらない。
- 年収は世代別の平均値を上回る可能性が高い。
- 資格手当がつけば大幅な年収アップが望める。
- 年収1000万円も夢ではなく、現実的である。
また、建設コンサルタントは入札により、案件を落札して仕事を取っていますが、入札に当たっては資格や実績が必要となるため、会社が資格取得を奨励しています。
この記事が、建設コンサルタントを目指すあなたに少しでも参考となればうれしいです。